マヨヒガ

怖いもの好きな人集まれ

映画「ジェイコブス・ラダー」(1990)

(映画.comより)

人は、一日に一歩ずつ『ジェイコブの階段』を登っている

 

何が現実で何が悪夢なのか?私たちは今何を見ているのだろうか?

ジェイコブス・ラダー」は、良い意味で見てると頭がおかしくなりそうになる映画です。

Amazonプライム・ビデオで見れなかったので、新年早々U-NEXTに入会して視聴しました!

 

 

<個人的な評価>

ホラー描写:☆☆☆☆☆

ストーリー:☆☆☆☆☆

 

<解説>

旧約聖書の「ヤコブの梯子」のエピソードをモチーフに、夢と現実の間をさまよう男の不思議な体験を描いたサスペンススリラー。ニューヨークで暮らす郵便局員ジェイコブは、地下鉄車内で見た夢でベトナム戦争での恐ろしい出来事を追体験し、何者かに腹を刺されたところで目を覚ます。それ以来、彼の日常には奇妙な幻覚が交錯するようになり……。主演は「ショーシャンクの空に」のティム・ロビンス。「ホーム・アローン」でブレイクする前のマコーレー・カルキンが主人公の息子役で出演。「ゴースト ニューヨークの幻」のブルース・ジョエル・ルービンが脚本を手がけ、「危険な情事」のエイドリアン・ラインがメガホンをとった。(映画.comより)

 

 

(現在、Amazonプライム・ビデオでは配信されていません)

 

<めちゃくちゃネタバレありのあらすじ・感想>

 

 

 

 

ベトナム戦争中に誰かに腹部を刺されて名誉除隊となった後、離婚して新しい恋人と同棲しはじめたジェイコブ。戦争のトラウマを引き摺って悪夢を見る日々の中、ジェイコブは頭をやたらとブルブルさせる怪物に追われるようになったり、時には離婚していない世界で死んだ息子ゲイブと会話をする夢を見たりします。
明らかになにかがおかしいことに気づき始めるジェイコブ。ある日軍役時代の仲間から連絡があり、話してみると何かに追われていると相談されます。そしてジェイコブは、軍役時代に政府の陰謀によって何かをされ、その後遺症で何かが起こっているということにたどりつくのですが…。

見ている方は次第に何が現実で何が悪夢なのか分からなくなっていきます。というのも、現実での出来事が明らかにおかしくなっていくからです。


熱を冷ますために氷を大量に入れた水の中にぶち込まれたり、怪我をして病院に運び込まれて手術室に向かうもののなぜかその道が血や肉片で汚れた精神病院だったり、のっぺらぼうの看護師に注射を眉間にぶっ刺されたり、手術を終えて入院中のジェイコブを死んだはずの整体師が無理やり連れ出して施術し始めたり…。

 

まるで夢の中のように、訳の分からないシーンが連続していきます。

 

ジェイコブは政府の陰謀実験に関わった人間から、政府の実験によって自分たちの大隊が「ラダー」という薬を投与され、その薬のせいで仲間同士で殺し合ったこと、不可解な現象は薬飲んで後遺症であることを聞かされます。

 

最後、本当の家に帰ったジェイコブは、死んだはずのゲイブに導かれて光り輝く階段を登っていきます。そして…。

 

結局我々が見ていたもの、それはジェイコブの走馬灯のようなもの、でしょうか。

私は途中まで戦争の後遺症で精神を病んでしまった主人公の頭の中を覗いているのではないかと思っていたのですが(「ガリガリ博士」や「さよならを教えて」のように)、違いました笑

全てはベトナム戦争で腹部を刺されて生死をさまよっていたジェイコブが、死に際に見ていた夢だったのです。

ジェイコブは突然発狂した仲間に殺されてしまったという現実や、家族を残してこの世を去ってしまうという現実を受け止めきれなかったのでしょう。
だから死を恐れ、悪夢の中で怪物(悪魔)に追いかけられた。
死を恐れて死から逃げようとすると悪魔に追いかけられて地獄行きになり、死を受け入れると天使に導かれて天国行きになる、という言葉が作中に出てきます。

夢の中で悪魔に追いかけられて死んだ人たちは、ジェイコブにその事を気付かせる為の存在だったのでしょうか。
やがて自分が納得できる真実(実際の真実ではないのでしょうが)にたどり着き、全てを受け入れたジェイコブは天使に導かれて天国への階段を登っていきました。

 

本作は旧約聖書ヤコブの梯子の話にヒントを得ているとのこと。キャッチ・コピーは「人は、一日に一歩ずつ『ジェイコブの階段』を登っている」

本作の背景にある米国陸軍開発による化学兵器BZガス(3-キヌクリジニルベンジラート、通称ゾンビ・ガス)の開発過程における自国軍兵士に対する生体実験の事実と、その被験者が被った後遺症は実話とされています(「MKウルトラ計画」)。

 

個人的に好きなところは…全部です
雑に聞こえるかもしれませんが、これは夢なのか?現実なのか?訳の分からないシーンの連続に翻弄され、何が何だかよく分からない…本当に夢を見ているような感覚でした。
代わる代わる変なことが起こるのが本当に夢みたいなんです。夢の中って変なことが起こっても「そういうもんかー」って感じでスルーしたまま展開するし、めっちゃ昔の友人が突然出てきたり、なんの脈絡もない出来事が代わる代わる起きるけど全く気にしないし、とにかくチグハグでヘンテコじゃないですか。ジェイコブス・ラダーは本当にそんな感じなんです。
見てて頭がおかしくなるかと思いました笑
けど本当に面白かったです。
最後、家族の居ない家で暖かい思い出を走馬灯のように思い出し、自分のせいで死んでしまった息子ゲイブに導かれ光り輝く階段を登っていった先の現実で全てが明らかになる…という流れは本当にグッときました。

本当に素晴らしい映画でした。
全てを知った上でもう一度見返したい映画です。

ちなみに、2019年にリメイクされていますが…。私はまだ見ていません;