映画「ヘレディタリー 継承」
完璧な悪夢
公開直後から「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」「21世紀最高のホラー映画」と評されてたホラー作品。
監督は、SNS等で話題になった映画「ミッドサマー」を手掛けたアリ・アスター。
容赦のないグロテスクなホラー描写と陰鬱な空気感が特徴的です。
<解説>
家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。祖母エレンが亡くなったグラハム家。過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた。「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスター。
(映画.comより)
<以下めちゃくちゃネタバレありの感想>
アリ・アスターの陰鬱な雰囲気が大好きです。
どこか歪で閉塞感のある人間関係が絶妙に表現されているといえばいいのでしょうか。
和気藹々としたところからジェットコースターのように恐怖に叩き落される、といった流れのホラー映画もりますが、アリ・アスターのホラー映画は最初からいや~な空気が漂っていて、時間をかけてネチネチと嫌な気配が近づいているのを感じます。
現実が上手く行かない、なにかがおかしい、というところからどんどんとオカルティックな世界に転がり落ちて行く流れが非常に良かったです。この家族は最初からそういう運命だったのですが…。
おばあちゃんの葬式が終わるや否や、兄・ピーターと母・アニーが原因で妹・チャーリーは事故死してしまいます。のせいで家族はギスギスするし、お母さんのアニーは精神的に参って降霊術とか始めちゃうし、お兄ちゃんのピーターの身にも怖いことが起こるし、とにかくヤバイことになっていきます。
お母さんが頑張って一連の現象が何なのかを突き止めたところで、もうすべてが手遅れでした…。
これは最初から仕組まれていた物語だったのです。
結局一家を恐怖に陥れたのはなんだったのか?
死んだおばあちゃん(エレン)が生前教主を務めていたカルト教団のせいだった!
こんなの回避出来るはずがない!おばあちゃん、とんでもないものを残していきました…。
実は悪魔ペイモンを崇めるカルト教団の教主だった祖母(エレン)。教団を孫のチャーリーに引き継がせる、ペイモンを復活させる、という目的のために教団に儀式を託していました。
真っ先に死んでしまったチャーリー。おそらくそれも教団が仕組んだことだったのでしょう。教団の目的は悪魔ペイモンを復活させることなのですが、復活には男の体が必要でした。おばあちゃんは教団をチャーリーに引き継がせたかったのですが、チャーリーは女の子です。冒頭でチャーリーが「おばあちゃんに男なら良かったと言われた」と言っていましたが、そういう意味だったんですね。
で、どうしてもチャーリーを教主にしたかったのであろうおばあちゃん(教団)が何をしたかというと…。
チャーリーを一旦殺して、その魂を兄ピーターの体の中に入れることで、体・ピーター魂・チャーリー状態で復活させる。
お兄ちゃんはそのために教団からめちゃくちゃ嫌がらせを受けます。可哀想。
チャーリーは儀式を経て、教団の目論見通り兄ピーターの体で復活します。
チャーリーが良い意味で不気味でとても印象深かったので、一番初めに退場してしまってめちゃくちゃ驚いたのですが…やはりキーパーソンだったのですね。
でも、復活したチャーリーって本当にチャーリーなのでしょうか?それともペイモン…?
個人的に好きだったのは以下のシーンです。
・チャーリーがアレルギー症状で苦しんだ挙句首飛ぶところ
・ピーターが机に打ち付けられるところ
・アニーが首をピアノ線でギコギコするところ
・復活するところ
日本ではあまり馴染みがないですが、やはり海外ホラーといえば悪魔的な要素が絡んできますね。
上記のシーンは相手が悪魔でも悪霊でも殺人鬼でも怖いことは間違いないでしょう。
(実は私はちゃんとしたグロシーンが苦手なので、ピアノ線ギコギコはかなりトラウマです;)
ということで、拙い文章で恐縮ですが感想を書かせていただきました。
よろしければ皆さんの感想も聞かせてください!
観てないのにネタバレを見てしまった方、居ないと思いますが…笑とにかくめちゃくちゃ面白い作品なので、もしまだ観てない方はぜひ観てください!